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中文在線、AI 微短劇「工場」を開示 — 年産 3,000 本へ AI 生産 3 倍も累損は 10 億元超

中文在線が 5 月 25 日に開示した機関投資家向け記録は、AI が脚本から配信までを担う 微短劇「工場」の青写真だった。生産は前年比 3 倍、年産 3,000 本を狙う一方、2025 年純損失は 6.71 億元と前年比 176% 拡大。株価は底値から約 1,269% 急騰し、業績との乖離が際立つ。

TL;DR — 3 行で読む
  • 中文在線が 5 月 25 日に開示した機関調研記録で、AI 微短劇生産が前年同期比 300% 超増、2026 年末に年産 3,000 本を狙うと表明
  • 自社 LLM「中文逍遥」を軸に IP 選定→脚本→生成→配信→フィードバックを AI で一気通貫、3D 1 分あたり制作費は 75% 超減
  • 一方で短劇参入後の累積損失は 10 億元超、2025 年純損失は 6.71 億元(前年比 176% 拡大)。株価は底値から約 1,269% 急騰し業績と乖離

概要

派手な数字が並ぶ。だが、足元は赤字である。中国の老舗デジタル出版社 中文在線(ジョンウェン・オンライン、深圳証券取引所上場・コード 300364)は 5 月 25 日、機関投資家向けの面談記録(機関調研、企業が機関投資家との質疑内容を要約して開示する文書)を 2 本公表した。中身は、AI が制作の中核を担う 微短劇(マイクロドラマ、1 話 1〜2 分の縦型短編連続ドラマ)の「工場」構想である。

開示によれば、2026 年第 1 四半期の AI 微短劇の生産本数は前年同期比で 300% 超に増え、年末には精品(高品質)AI 短劇の年産能力を 3,000 本へ引き上げる目標を掲げる。AI 活用で 3D アニメの 1 分あたり制作費は 75% 超下がり、配信の効率は従来比 20 倍以上とする。生産ラインは複数稼働し、月産はさらに増えるという。

一方、財務は対照的だ。短劇事業に参入して以降の累積損失は 10 億元(約 200 億円)を超え、2025 年単年の純損失は 6.71 億元と前年(2.43 億元)から 176% 拡大した。それでも株価は底値から約 1,269% 跳ね上がっている。

経緯

中文在線はもともとネット文学(ウェブ小説)の配信を主力とする企業だった。その IP(知的財産、ここでは小説原作)を縦型短編ドラマへ転用する流れに乗り、短劇を新たな収益柱に据えてきた。新浪財経によると、2025 年の短劇・IP 派生品収入は 8.96 億元(前年比 125% 増)に達し、総収入の 54% を占めて最大事業となった。総収入自体も 16.57 億元へ約 43% 伸びている。

だが、成長は出血を伴った。海外向け配信アプリ「FlareFlow」を軸とする海外展開の販促費がかさみ、2025 年の販売費は 9.53 億元(前年比 105% 増)と倍増し、営収の 57% を食った。新浪財経の集計では海外プラットフォームは 2025 年に 3.5 億元の売上を上げつつ 4.73 億元の純損失を出している。利益はことごとく顧客獲得費へ消えた。

ここで打ち出されたのが AI 工場である。中文在線は自社開発の大規模言語モデル(LLM、大量の文章を学習した生成 AI)「中文逍遥」と、自社制作エンジン「FlareFlash」を組み合わせ、制作の工業化を進める。澎湃新聞や 36 氪の整理では、5 月 25 日の調研記録はこの体制を「IP 選定・脚本改編・動画制作・配信・素材投下・ユーザーフィードバック・モデル学習までを AI が自動で回す」一連の工程として説明している。

構造解釈:AI で「上流から下流まで」を内製する賭け

今回の開示で見えるのは、制作の垂直統合(バリューチェーン全体を 1 社で抱える形)を AI で実装しようとする賭けだ。原作 IP の選定から、脚本、映像生成、配信、広告投下、そして視聴データのフィードバックによるモデル再学習まで、本来は別々の専門職が担う工程である。それを一つの自社 AI パイプラインに通そうとしている。

狙いは明快である。微短劇は本数勝負の世界だ。当たるかどうかは出してみないと分からないため、安く速く大量に投入できれば、ヒット確率を「打席数」で稼げる。AI で 1 分あたりの制作費を 75% 超下げ、年産 3,000 本という規模を可能にすれば、従来の制作会社では割に合わなかった単価帯でも回せる。前年同期比 300% 超という生産本数の伸びは、量産の桁が変わりつつあることを示す。

だが、ここに矛盾がある。生産コストは確かに下がった。しかし赤字の主因は制作費ではなく販促費だった。いくら安く大量に作っても、視聴者に届けるための広告投下が高止まりすれば、損失は止まらない。AI 工場は「作る」側の経済性を変えるが、「届ける」側のコスト構造には直接効かない。抖音(ドウイン)・快手・阿里(アリババ)といった巨大プラットフォームが同様の AI 能力開発に乗り出している。先行者だったはずの中文在線の優位は薄れつつある、と澎湃新聞は指摘する。

示唆:株価の物語と決算の現実

株価は 1 株 3.2 元の底値から 43.8 元へ、約 1,269% 上昇した。AI と短劇という二つの旬のテーマが重なり、市場は「物語」を買った。だが決算は谷底にある。2026 年第 1 四半期も 4,583 万元の損失を計上した。物語と現実の乖離をどう埋めるかが、今後の焦点となる。

WATCHLIST — 次に追う 3 つ
  1. 3,000 本という生産目標が実際の収益に結びつくか。本数は供給側の指標で需要を保証せず、AI で下がる制作費だけでなく販促費が下がらない構造を崩せるかが鍵となる
  2. 資本面の動き。香港証取への上場申請(A 株+H 株の「A+H」二重上場)の行方と、期待で買う個人と利益を確定する戦略株主(Tencent 系の深圳利通が保有比率を引き下げ)の交錯
  3. AI 微短劇という賭けが業界の標準になるか、中文在線固有の苦戦に終わるか。量産の経済性は誰でも手に入れられ、垂直統合の内製モデルが本当に堀になるかは未証明

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