規制・法務 · Regulation & Compliance
米通信規制のFCC、放送局の全国到達率39%上限を撤廃へ8月採決
放送局グループが全国のテレビ視聴世帯にどこまで届いてよいかを定めてきた規制の撤廃を、米連邦通信委員会(FCC)が来月に諮る。配信の台頭を理由に、審査なしの一律禁止から案件ごとの個別判断へ切り替える提案だ。
FCCのブレンダン・カー委員長は7月15日、放送局の「全国所有上限」を撤廃する案を公式ブログで表明した。この上限は放送局グループの到達範囲を全米テレビ視聴世帯の39%までに制限してきた規制で、撤廃後は案件ごとに公共の利益を審査するケースバイケース方式に置き換える。
- 採決は8月6日に設定。FCCは共和党系委員が多数を握る体制で臨む。
- カー委員長の説明: 従来ルールは39%超の統合を一律禁止してきたが、配信やYouTube TVのような「仮想ケーブル」は全米で自由に競争できるとして、規制対象を案件ごとの公益審査に切り替える。
- 民主党系のアンナ・ゴメス委員は、上限規制について「目安ではない。法律だ」と反対し、撤廃は本来議会の権限だと批判。保守系ネットワークNewsmaxのクリス・ラディCEOも連邦法違反として法廷闘争を示唆する一方、全米放送事業者協会(NAB)は歓迎を表明した。
- FCCは3月、放送局大手Nexstarによる同業Tegnaの買収(35.4億ドル)をルールの適用免除(waiver)付きで承認し、買収自体は完了済み。到達率は全米視聴世帯の80%に広がる規模になる。
- ただし衛星放送のDirecTVと8州の司法長官の申立てを認めた連邦判事の命令(独占禁止法にあたる反トラスト法上の別件)により、Tegnaを独立の事業体のまま維持する統合凍結が続いている。
編集部の視点
Nexstar-Tegna案件では、39%を大きく超える統合がすでに個別の適用免除で承認されており、今回の提案はその個別対応をルールそのものの撤廃に格上げする動きだ。統合凍結は反トラスト法上の争いでFCCの所有規制とは別建てのため、上限撤廃が決まってもこの訴訟の行方を直接は左右しない。焦点は8月6日の採決の可否と、その後にNewsmaxらが予告する法廷闘争が「議会が定めた法」の解釈をどう争うかに移る。
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