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Viu と iQIYI、東南アジアで配信バンドルを共同ローンチ — 競合だった地域勢が「規模」を守る防衛連合

韓ドラの Viu と中ドラの iQIYI 国際版が、東南アジア 4 カ国で一つの定額に束なる。グローバル勢に押される地域ストリーマーが、競合を組んで価格敏感な市場の「規模」を共同で守りに行く。

TL;DR — 3 行で読む
  • Viu と中国 iQIYI International が、東南アジア 4 カ国で 2026 年下半期に配信バンドルを共同ローンチすると発表
  • 競合だった地域ストリーマー同士が、韓ドラ・中ドラ・現地作を一つの定額に束ね、Netflix らグローバル勢に対抗
  • iQIYI 国際版にとって初の越境提携。価格敏感な市場で「規模」を共同で守る防衛的な一手

概要

競合だったアジアの配信 2 社が手を組む。ViuiQIYI International は 6 月 16 日、バリで開かれた業界会議 APOS 2026 で、東南アジア向けの配信バンドル(複数サービスを一つの料金で束ねる売り方)を共同ローンチすると発表した。対象はインドネシア・タイ・フィリピン・マレーシアの 4 カ国で、提供開始は 2026 年下半期を予定する。

バンドルは一つの定額で両サービスを契約できるが、視聴アプリ自体は別々のまま使う形になる。Viu からは韓国・中国ドラマ、東南アジアの現地制作、自社オリジナル、縦型の短編「Viu Shorts」が入る。iQIYI 国際版からは中国・地域オリジナル、アニメ、バラエティ、マイクロドラマ(数分尺の縦型ドラマ)が加わる。料金や加入者規模、収益分配は非公開。両社は自社サイトで販売する。iQIYI 国際版にとっては、初の越境的な配信提携にあたる。

経緯

舞台の東南アジアは、世界でもっとも競争が激しい配信市場の一つだ。6 億人を超える視聴者がいる一方で価格に敏感で、グローバル勢の NetflixDisney+Prime Video が会員を奪い合う。ここでは過去に地域サービスの淘汰も起きた。シンガポール発の HOOQ(フーク)や iflix(アイフリックス)は資金力で続かず撤退している。地域勢が単独で規模を保つのが難しい市場だということだ。

組んだ 2 社の立ち位置は対照的だ。Viu は香港 PCCW 傘下で、フランスの放送大手カナル・プラス(Canal+、欧州の有料放送・配信会社)が大株主に入る。広告付き無料と定額の二重モデルで、アジア・中東・アフリカに足場を築いてきた。一方の iQIYI 国際版は、ナスダック上場の中国大手 iQIYI の海外部門だ。競争の激しい国内市場が成熟するなか、東南アジアのような海外を成長の最前線に据え直している。2026 年 1〜3 月期には海外会員収益が過去最高に達したと自社決算で説明する。伸び盛りの市場で、両社の品ぞろえはほとんど重ならない。

構造解釈:競合を束ねて「規模」を守る防衛的バンドル

この提携の本質は、攻めよりも守りにある。韓ドラに強い Viu と中ドラ・アニメに強い iQIYI は、本来なら同じ視聴者を取り合う競合だ。その 2 社が束なるのは、単独ではグローバル勢の物量に対して「規模」を確保しきれないからだ。重ならない品ぞろえを一つの定額に合算すれば、契約あたりの見たい作品が増え、解約されにくくなる。バンドルは、補完的なライブラリを持つ者どうしが、相手の客を奪う代わりに客を分け合う取引である。

グローバル勢が束ねる側に回っているのも背景にある。Netflix・Disney・Amazon は単体で巨大なライブラリと制作費を持ち、それ自体が一種のバンドルとして機能する。地域勢は一社ずつではこの物量に対抗できない。だからライブラリを合算して「見るものが足りない」状態を解消し、価格敏感な層をグローバル勢の安いプランへ流れにくくする。呉越同舟に見えるが、合理は明快だ——同じ市場で別々に薄く負けるより、組んで一つの厚い受け皿を作る方が双方に得になる。

iQIYI にとっては、これが「初の越境提携」である点も重い。自前のアプリと自前の課金だけで海外を広げる従来路線から、現地で足場を持つパートナーに相乗りする路線への切り替えを意味する。成熟した国内市場を離れた中国配信が、海外で単独成長の難しさに直面し、提携によるショートカットを選び始めた——その最初の一例と読める。

示唆:地域連合は守りから攻めに転じられるか

バンドルが守りとして機能するかは、料金で決まる。両サービスを別々に契約するより明確に割安でなければ、視聴者は束ねる意味を感じない。下半期のローンチでどこまで単売比の割引を効かせ、どの層を取り戻すかが最初の試金石になる。

より大きな問いは、この一手が「初の越境提携」で終わらないかどうかだ。iQIYI 国際版が東南アジアでの相乗りを成功例にできれば、同じ枠組みを中東や南アジアの地域パートナーへ広げる動機が生まれる。地域勢どうしの連合が市場ごとに増えれば、グローバル勢の単体バンドルに対抗する「組み合わせ型の配信」が、新興市場の標準的な売り方になりうる。逆に Netflix や Disney が値下げや独自バンドルで応じれば、束ねたところで価格競争に飲み込まれる。守りのバンドルが攻めに転じられるか、それとも一時しのぎで終わるかは、相手の出方次第でもある。

WATCHLIST — 次に追う 3 つ
  1. 下半期ローンチ時のバンドル料金が、両サービス単売の合計からどれだけ割安に設定されるか
  2. iQIYI International がこの「初の越境提携」を中東・南アジアなど他地域の地域パートナーへ広げるか
  3. NetflixDisney+ が値下げや独自バンドルで地域勢連合に対抗してくるか

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