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Lionsgate FQ4、『The Housemaid』が STARZ 史上最高の Pay One に — 自社配信なしで稼ぐ windowing

STARZ を分離したライオンズゲートが、自社配信を持たない純粋スタジオとして 12 年来の高採算を記録した。『The Housemaid』は世界興収約 4 億ドル、STARZ 史上最高の Pay One タイトルに。ライブラリと劇場→PVOD→Pay One のウィンドウ戦略が、配信時代のスタジオの稼ぎ方を示す。

TL;DR — 3 行で読む
  • Lionsgate の FQ4 2026 は売上 $906.5M、調整後 OIBDA $165.4M(12 年来の高水準)、フリーキャッシュフロー $190.4M
  • 『The Housemaid』は世界興収約 4 億ドル、PVOD で記録的、STARZ 史上最高の Pay One タイトルに。TTM ライブラリ収益は 3 四半期連続 $10 億超
  • STARZ 分離後、自社配信を持たない Lionsgate が、ライブラリと劇場→PVOD→Pay One の windowing で稼ぐスタジオ像を示す

概要

Lionsgate(ライオンズゲート)は 5 月 21 日、2026 会計年度第 4 四半期決算を発表した。主な数字は以下の通り。

  • 売上 $906.5M、営業利益 $117.5M、純利益 $70.2M(1 株 $0.23)
  • 調整後では純利益 $111.6M、1 株 $0.37
  • 調整後 OIBDA(営業利益に減価償却などを戻した収益力指標)は $165.4M で 12 年来の高水準
  • フリーキャッシュフロー $190.4M

牽引したのは『The Housemaid』である。世界興収は約 4 億ドルに達し、同程度の興収の作品のなかで PVOD(プレミアム VOD)の記録を更新、さらに STARZ 史上最高の Pay One タイトル(劇場後の最初の有料配信ウィンドウ)になった。TTM(直近 12 か月)のライブラリ収益は 3 四半期連続で $10 億を超えた。STARZ を分離した後の純粋スタジオとして、自社の配信プラットフォームを持たずに高採算を実現した点が特徴である。

経緯

Lionsgate は、プレミアム配信の STARZ を分離し、映画・テレビ制作に特化した純粋スタジオへと姿を変えた。Netflix や Disney のように自社の巨大な SVOD を持たないため、稼ぎ方の軸はライブラリ(過去作の継続収益)と、新作のウィンドウ戦略(劇場→PVOD→Pay One→各配信)に置かれる。

『The Housemaid』はその好例だ。まず劇場で世界興収約 4 億ドルの話題を作り、次に PVOD で高単価の購入・レンタル需要を取り込み、その後 STARZ の Pay One ウィンドウで史上最高の配信実績を出した。一本の作品から、劇場・PVOD・配信と複数のウィンドウで段階的に収益を引き出す。自社配信に独占で囲い込むのではなく、各ウィンドウで最も稼げる形に作品を流す設計である。

構造解釈:自社プラットフォームを持たないスタジオの『windowing』

ここで示されるのは、自社配信プラットフォームを持たないスタジオが、windowing(公開窓の段階設計)とライブラリで稼ぐモデルである。Netflix 型の「自社 SVOD に全部入れる」戦略とは対照的に、Lionsgate は作品ごとに最適な売り先・売り方を選ぶ。劇場で話題を作り、PVOD で高単価を取り、Pay One で配信に出し、最後にライブラリとして長く回す。各段階で異なる相手(劇場・PVOD 事業者・STARZ・他配信)から対価を得る。

この身軽さは、配信が利益を競う時代にむしろ強みになる。巨大な自社プラットフォームの維持コストを負わず、作品の価値を複数ウィンドウで最大化できるからだ。ライブラリ収益が 3 四半期連続で $10 億を超える安定財源になっていることは、ヒットの当たり外れに左右されにくい基盤があることを示す。Paramount の Ellison が語ったライセンス継続の思想とも通じる、windowing 重視のスタジオ像である。

皮肉なことに、各社が自社配信の黒字化に苦しんだ数年を経て、そもそも自社配信を持たない選択が再評価されつつある。コンテンツを作る力さえあれば、配信プラットフォームは売り先であって、自ら抱えるべきものとは限らない。利益重視に転じた SVOD 各社が独占より現金化を選ぶほど、優良なライブラリと新作を持つ独立スタジオの交渉力はむしろ高まる。

示唆:配信時代のスタジオの稼ぎ方

Lionsgate の FQ4 は、自社配信を持たないスタジオが、ライブラリと windowing で高採算を出せることを示した。プラットフォーム競争の外側で、作品の価値を段階的に現金化する稼ぎ方である。

WATCHLIST — 次に追う 3 つ
  1. 『The Housemaid』級のヒットを継続的に生み出し、ウィンドウ収益を安定させられるか
  2. TTM ライブラリ収益 $10 億超の水準を、過去作の価値で維持できるか
  3. 自社配信を持たない身軽さが、SVOD 各社の利益重視(独占より現金化)の流れのなかで、ライセンス需要の追い風を受け続けられるか

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