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LG U+ が独自 OTT「U+ Mobile TV」を 5 月末で終了 — 韓国通信 3 社の単独配信が全滅、IPTV 回帰へ

LG Uplus が単独型ストリーミング「U+ Mobile TV」を 5 月末で畳む。SK Telecom の Oksusu、KT の Seezn に続く撤退で、韓国通信 3 社の自前 OTT はすべて姿を消した。赤字の単独配信を捨て、利幅の読める IPTV へ回帰する通信会社の最終章である。

TL;DR — 3 行で読む
  • LG Uplus が単独 OTT「U+ Mobile TV」を 5 月末で終了し、IPTV 連携アプリ「U+tv モバイル」へ置き換える
  • SK Telecom の Oksusu(→Wavve)、KT の Seezn(→TVING)に続く撤退で、韓国通信 3 社の自前配信は全滅した
  • Netflix 等の攻勢で赤字化した単独配信を捨て、利幅の読める IPTV 課金へ回帰する流れの最終局面となる

概要

韓国の通信会社が、自前のストリーミングから手を引いている。LG Uplus(韓国第 3 の通信会社)は、モバイル中心の配信サービス「U+ Mobile TV(U+모바일tv)」を 5 月末で終了する。新規の有料加入は受付を停止済みで、有料 VOD(オンデマンド視聴)も段階的に取りやめたうえでの完全停波となる。

代わりに置くのは、独立した配信ではなく IPTV(光回線で配信する有料テレビ)の連携アプリ「U+tv モバイル(U+tv모바일)」だ。IPTV で購入した VOD をスマートフォンで観る、テレビとモバイルで視聴を引き継ぐ、スマホをリモコン代わりに使う——といった機能を一つのアプリに束ね、コンテンツの探索から視聴・管理までを通す(THE ELEC、Jeonguk News)。単独で会員を集める配信から、本業の IPTV を補完する道具へと、サービスの位置づけそのものを切り替える動きである。

この終了で、節目が一つ越えられた。SK Telecom の Oksusu、KT の Seezn に続く撤退により、韓国の移動通信 3 社が手がけた単独型 OTT はすべて姿を消したことになる(Korea Herald、G-Enews)。

経緯

通信 3 社の自前配信は、いずれも 2010 年代に立ち上がった。SK Telecom は 2016 年、子会社 SK ブロードバンドと組んで Oksusu を開始し、最大で約 950 万人の利用者を集めた。だがこの規模をもってしても単独事業としては続かず、2019 年に地上波系の Pooq と統合して、現在の韓国配信プラットフォーム Wavve の母体となった。

KT は 2019 年末に Seezn を投入したが、こちらも 2022 年末に TVING へ吸収された。Wavve・TVING はいずれも放送局や CJ 系の連合体で、通信会社の手を離れた先で生き残った格好だ。そして今回 LG Uplus が U+ Mobile TV を畳むことで、通信主導の単独 OTT という形態は韓国市場から一掃される(Korea Herald、G-Enews)。

今回の終了は段階的に進んだ。まず新規の有料加入を止め、続いて有料 VOD の提供を順次取りやめ、最後に 5 月末でサービス全体を停止する設計である(Korea Herald、G-Enews、Jeonguk News)。撤退の理由について、業界の流れに乗って OTT を立ち上げたものの、収益性が不安定になって統合に至った、と業界関係者は G-Enews に語っている。Netflix など世界規模の事業者が支配する市場で、オリジナル制作には継続的な投資と新作供給が要る——その負担に対して、自前配信の見返りは限られていた、という構図だ(Korea Herald)。

構造解釈:会員を“育てる”配信より、利幅の読める IPTV

今回の撤退の核心は、「会員をゼロから育てる配信」と「すでに課金基盤を持つ IPTV」の、採算構造の差にある。

単独 OTT は、独自コンテンツへの投資で会員を呼び込み、解約を抑え、規模で回収するモデルだ。だが韓国市場は Netflix が先行し、ここに地場の Coupang Play なども加わって、後発の通信系サービスが独自色で割って入る余地は乏しかった。Oksusu の約 950 万人という到達ですら単独事業として続かなかった事実が、その難しさを物語る。

対する IPTV は、すでに契約世帯という確実な課金基盤を抱える。LG Uplus の IPTV は 2025 年末時点で加入 570 万件、売上は約 1 兆 3,000 億ウォン(約 8 億 7,700 万ドル)に上る(Korea Herald)。ある業界関係者は、ゼロから配信の視聴者を作るよりも、利幅が読みやすく解約対策の仕組みも整った IPTV に賭けているのだ、と Korea Herald に述べている。自前で配信会員を奪い合うより、本業の有料テレビを軸に、モバイルはその補完に回す——通信 3 社が同じ結論に行き着いたことになる。

ただし、IPTV も無傷ではない。LG Uplus の同事業は加入が前年比で約 2.9% 伸びたにもかかわらず、売上は前年からわずかに減ったと報じられている(Korea Herald)。加入が増えても客単価は下押し圧力にさらされており、IPTV への回帰が安泰を意味するわけではない。

示唆:単独配信が消えた後の競争

通信 3 社の単独 OTT が出そろって退場したことは、韓国の配信競争が次の段に入ったことを示す。単独 OTT 全滅の後に残るのは、通信会社が配信を支える側として何を要求するかという役割分担の交渉である。

WATCHLIST — 次に追う 3 つ
  1. IPTV 課金の持続力。LG Uplus の IPTV は加入を伸ばしながら売上を微減させており、利幅の読みやすさを理由に IPTV へ寄せた選択が客単価の低下でどこまで損なわれるか
  2. IPTV と外部 OTT の関係。連携アプリ「U+tv モバイル」で観る中身の多くが結局 NetflixWavveTVING になりうる。通信会社が「土管」と「窓口」に徹し主導権を外部に明け渡す度合い
  3. ネットワーク利用料をめぐる力学。自前配信を畳んだ通信会社の収益が回線と IPTV へ戻るなか、大手配信事業者との「網使用料」の議論が改めて前面に出る可能性

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