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JYP の 1〜3 月、グッズが営業益を 7 割押し上げ — 純益半減は前年の一過性要因

JYP の 1〜3 月期は、新譜が乏しいなかでツアー連動グッズが売上を牽引した。MD 売上は前年比 85.2% 増。営業益は 7 割伸びた一方、純益は半減したが、これは前年同期に計上した DearU 株一部売却益の反動という一過性要因である。K-POP の収益源が音盤からモノとライブへ移る構図がはっきり出た四半期だ。

TL;DR — 3 行で読む
  • JYP の 1〜3 月期は売上 1,860 億ウォン (前年比 32.1% 増)、営業益 334 億ウォン (同 70.0% 増) で、グッズ (MD) 売上が 606 億ウォン (同 85.2% 増) と最大の伸びを記録
  • 純益は 319 億ウォンで 53.9% 減ったが、これは前年同期に計上した DearU 株一部売却益の反動による一過性要因で、本業の悪化ではない
  • TWICE の北米ツアーや NiziU の日本ツアーに連動したグッズ・ポップアップが牽引し、音盤依存からの収益源シフトが鮮明になった

概要

新しいアルバムがほとんど出なかった四半期に、グッズが利益を押し上げた。JYP が 5 月 14 日に発表した 1〜3 月期決算は、売上 1,860 億ウォン (前年同期比 32.1% 増)、営業利益 334 億ウォン (同 70.0% 増) と、本業が大きく伸びた。

最大の牽引役は MD (マーチャンダイズ=アーティスト関連グッズ) だった。MD 売上は 606 億ウォンで、前年比 85.2% 増。ツアー会場での物販に加え、開催都市でのポップアップストアやキャラクター・IP コラボ商品を組み合わせたことが効いた。

一方で純利益は 319 億ウォンと、53.9% も減った。だがこれは本業の不振ではない。前年の 1〜3 月期に DearU 株の一部売却で得た一過性の利益が高い比較対象 (基底) になっており、その反動である。営業段階の伸びと純益の減少は、別の理由で生じている。

経緯

JYP はもともと、ファン向けメッセージアプリ「Bubble」を運営する DearU の株式を保有していた。2025 年 1〜3 月期に同社株の一部を売却し、その売却益を特別利益として計上した。これが前年同期の純益をかさ上げしていた。

今期 (2026 年 1〜3 月) はその売却益がないため、純益が前年比で半減して見える。会社側も決算ノートで、純益の減少は前年同期の DearU 株一部売却による一過性利益が高い比較対象になったことが原因だと明記している。つまり数字の落差は会計上の前年比較の問題であって、足元の事業が縮んだわけではない。

事業の実態は逆に好調だ。会社側の説明では、主要アーティストの新譜が不在だったにもかかわらず、グローバルツアーと MD 事業の戦略的強化が全体の売上成長を牽引した。MD のうち、TWICE のツアー連動グッズと開催都市のポップアップ、NiziU の日本ツアーグッズ、さらに TWICE × ベアブリックやバンダイナムコとのコラボ商品 (Stray Kids の SKZOO ガチャ等) が寄与した。

セグメント別では、コンサート売上が 409 億ウォン (前年比 88.7% 増) と急伸した。TWICE の世界ツアー (約 29 公演) と NiziU の日本アリーナツアー (12 公演) などが反映された。広告売上も四半期最高の 136 億ウォン (同 50.9% 増) を記録した。

構造解釈:稼ぎ頭が「音盤」から「モノとライブ」へ

この四半期が示すのは、K-POP 企業の収益源が音盤 (フィジカルアルバム) から、モノ (グッズ) と体験 (ライブ) へ重心を移しているという構図だ。

実数で見ると対比が鮮明になる。フィジカルアルバム売上は 252 億ウォンで前年比 15.1% 減。新譜が DAY6 ウォンピル、ITZY ユナ、TWICE の MISAMO 日本盤などのソロ・ユニット中心で、主力グループの本体新譜が不在だったためだ。Stray Kids の旧譜が北米・欧州で売れ続けたことが下支えにはなったが、それでも減少を埋めるには届かなかった。

対照的に、MD は 85.2% 増、コンサートは 88.7% 増と跳ねた。アルバムが売れない四半期でも、ツアーと連動した物販で穴を十分に埋められたわけだ。メリッツ証券のアナリストは、この MD の伸びを「一過性ではなく構造的な変化」と評価する。ツアー会場の物販に頼る従来型から、世界ツアーと都市型ポップアップを統合し、会場とポップアップで商品ラインを差別化する手法へ進化させた点を理由に挙げる。

なお、ストリーミング売上は 198 億ウォンで前年比 32.0% 増だが、これは YouTube 収益の分類変更 (今期から再分類) の影響を含む。音楽配信そのものが大きく伸びたというより、計上区分の変更が押し上げている点には注意がいる。配信は安定収益ではあるが、今期の成長エンジンはあくまで MD とライブだった。

示唆:グッズ経済の再現性をどう測るか

JYP の今期は、K-POP の収益モデルが「ファンが何枚アルバムを買うか」から「ツアーでいくらモノに使うか」へ移りつつあることを、決算数字で裏づけた。会社側はこの TWICE で検証したモデルを、Stray Kids ら他の主力アーティストの世界ツアーにも展開する方針を示している。

WATCHLIST — 次に追う 3 つ
  1. 純益の前年比較が正常化する次の四半期(4〜6 月期)以降に、本業の伸びがそのまま純益に表れるか。DearU 要因を除いた実力ベースの利益を見る必要がある
  2. MD 高成長の再現性。ツアーのない四半期や TWICE 以外のアーティストでも同じ物販単価・ポップアップ動員を取れるかが、構造変化と呼べるかの分かれ目になる
  3. グッズ依存が高まることのリスク管理。ライブとグッズは在庫・物流・会場手配を伴い固定費が重く、利益率がツアー日程に左右されやすい。収益の質をどう平準化するか

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