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HBO Max、NZ・ベトナム投入でアジア太平洋35市場超に — 番組卸から自社直販への転換が鮮明

ワーナーの配信 HBO Max が、ニュージーランドとベトナムで直販を開始し、アジア太平洋35市場超に到達した。東南アジア・ANZ の主要展開を完了する節目だ。ベトナムでは旧 HBO GO を畳んで自社直販へ移行する。番組を卸す立場から会員を直接抱える立場へ、CJ ENM の K コンテンツをてこに軸足を移す。

TL;DR — 3 行で読む
  • HBO Max が6月16日にニュージーランドとベトナムで直販を開始し、東南アジア・ANZ の主要展開を完了。アジア太平洋は35市場超に
  • ベトナムでは旧 HBO GO が6月15日に停止し、ケーブル/第三者経由から自社直販(DTC)へ移行。CJ ENM と組んだ K ドラマ専用ハブ TVING が地域展開のてこ
  • ニュージーランドでは Netflix を下回る導入価格で参入。番組を卸す立場から会員を直接抱える立場への転換が鮮明に

概要

ワーナーの配信サービスが、アジア太平洋の地図をほぼ塗り終えた。HBO Max は6月16日、ニュージーランドとベトナムで直販を開始したと発表した。これで同社は地域35市場超でサービスを提供し、東南アジアとオーストラリア・ニュージーランド(ANZ)での主要な立ち上げを完了した。

アジア太平洋統括責任者のジェームズ・ギボンズは、今回の2市場が「東南アジアと ANZ の主要展開を締めくくる」ものだと位置づけた。地域では『The Last of Us』『ゲーム・オブ・スローンズ』などの自社オリジナルに加え、『フレンズ』やハリー・ポッター作品群といった定番がそろう。

経緯

WBD は2025年から HBO Max のアジア展開を段階的に進めてきた。今回の節目で目を引くのは、ベトナムでの切り替え方である。従来この市場では、ケーブルや第三者の配信枠を通じて HBO 系の番組が届けられていた。だが旧アプリ「HBO GO」は6月15日に配信を停止し、翌16日からは利用者が hbomax.com 上で直接契約する自社直販へ完全に移った。直販(DTC、仲介を挟まず消費者へ直接売る形態)への一本化である。

韓国コンテンツの厚みも増している。WBD は2025年10月に CJ ENM と複数年の提携を結び、傘下の配信 TVING のブランド枠を HBO Max 内に設けた。このハブは2026年1月にアジア太平洋17市場で立ち上がり、K ドラマの独占配信を売りにする。ベトナム向けにも『ユミの細胞たち』続編などの韓国作品が用意された。

構造解釈:番組卸から自社直販へ

今回の展開が示すのは、WBD がアジアで「番組を他社に卸す」立場から「自社で会員を抱える」立場へ軸足を移したことである。HBO GO の時代は、現地のケーブルや配信事業者が窓口だった。視聴者との関係も課金もそれら経由で、ワーナーは卸元にとどまっていた。直販化はこの中間を外し、会員データと価格決定を自社に取り戻す動きだ。

価格設定にもその意図がにじむ。ニュージーランドでは、参入時に割安な導入価格を打ち出した。標準プランは最初の6カ月が月10.99ニュージーランドドルで、その後は月15.99ドルへ上がる。

この導入価格を現地報道は競合と比べている。Netflix(月17.99〜33.99ドル)を下回り、広告付きで月9.99ドルから始まる Disney+ との間に位置するという。会員基盤をまず数で積み上げ、後から単価を上げる、立ち上げの定石である。

韓国コンテンツのハブ化は、その会員獲得のてことなる。自社制作だけでは埋めきれない地域の好みを、現地で強い K ドラマで補う。CJ ENM との提携で TVING の在庫を取り込むのは、ローカル化を買ってくる選択といえる。WBD のデビッド・ザスラフ最高経営責任者は提携時、この提携を世界の主要市場で現地に根ざした優れた物語を届ける取り組みの要だと位置づけた。グローバルの大型作と現地の人気作を組み合わせ、アジアでの足場を固める狙いだ。

示唆:広げた市場を「収益の厚み」へどう変えるか

HBO Max は市場の数こそ広げたが、アジア太平洋は依然として視聴者1人あたりの稼ぎが薄い地域だ。Netflix・Prime VideoDisney+ との競争は、加入者の取り合いから、いかに単価を上げ解約を抑えるかの局面へ移りつつある。

WBD の答えは、自社直販で顧客との関係を握り直し、K コンテンツで定着を図る組み合わせにある。ただし導入価格はいずれ通常価格へ戻り、そこで会員が残るかが問われる。35市場という広さを収益の厚みにどう変えるか。アジアでの真価は、立ち上げの数字ではなく、来期以降の単価と継続率に表れる。

WATCHLIST — 次に追う 3 つ
  1. 35市場超に広げたアジア太平洋で、HBO Max の加入者数や1人あたり収入が WBD 決算でどう開示されるか
  2. 導入価格(最初の6カ月)の終了後に通常価格へ移る局面で、解約率にどこまで響くか
  3. CJ ENMTVING の K コンテンツ・ハブが、Disney+(日本)との併存のなかで独占とマルチ配信のどちらに寄るか

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