台湾 Catchplay、韓国勢と組み「数百時間」の高級縦型 K ドラマを 3 市場へ — 完成品ライセンスから縦型フォーマット輸出へ
Catchplay が SLL・CJ ENM ら韓国勢と組み、高級縦型 K ドラマを台湾・インドネシア・シンガポールへ展開する。完成品の本数売りに偏ってきた K コンテンツ輸出に、低コストで増産できる縦型フォーマットという新しい収益線を加える試みだ。配信は台湾の有料 TV や車載まで束ねる。
概要
台湾の配信大手 Catchplay が、縦型ドラマに本格参入する。同社は 5 月 22 日のサービス開始 10 周年に合わせ、韓国勢と組んで「高級縦型 K ドラマ」を台湾・インドネシア・シンガポールの 3 市場で展開すると発表した(Deadline、Asian Movie Pulse)。
縦型ドラマ(スマートフォンの縦画面向けに 1 話 1〜2 分で量産する短尺フォーマット。マイクロドラマとも呼ぶ)は、これまで安価な大量生産が主流だった。Catchplay はこれを「より高い水準の物語」へ引き上げると位置付ける。
組む相手は 4 社。新興の韓国縦型プラットフォーム Sero とは、3 市場で専用ブランドゾーンを設ける。CJ ENM と制作会社 b.able からはライセンスで「数百時間」分の縦型 K ドラマを調達する。そして韓国の SLL(旧 JTBC スタジオ、중앙그룹傘下の制作スタジオ)とは、Catchplay の制作部門 Screenworks Asia が北京語の縦型シリーズを共同開発する(Asian Movie Pulse)。
経緯
縦型ドラマは中国発のフォーマットが世界に広がり、低予算・高頻度の使い捨てコンテンツとして急成長してきた。だが Catchplay が狙うのは、その対極にある「高級路線」だ。
Catchplay グループの最高経営責任者ダフネ・ヤン氏は、縦型のストーリーテリングは急速に進化しており、プレミアムな縦型コンテンツに強い可能性を見ていると語る。目指す像は、長尺ドラマより軽く鋭くテンポの速い代替でありながら、一般的なマイクロドラマよりもはるかに高い水準の物語だという(Asian Movie Pulse)。
SLL との共同開発は、台湾と韓国の制作陣が組む座組みだ。題材は「アーバンファンタジー(都市を舞台にした幻想譚)」で、台湾が得意とする情感の物語と、韓国が強いジャンル演出・映像美・商業制作のノウハウを掛け合わせる。台湾の脚本家ルー・シーユエン氏が脚本コンサルタントに就き、ヤン氏、Screenworks Asia 統括のチェン・シャオイー氏、DaMou Entertainment の CEO ジェイド・リン氏が、韓国側プロデューサーと共同で製作総指揮を務める。
SLL の最高経営責任者パク・ジュンソ氏は、高い制作水準と強い IP 拡張性を保ちながら、モバイル中心の若い視聴者に響く新しい物語の可能性を探ると述べた(Asian Movie Pulse)。
構造解釈:K コンテンツ輸出の「形」を変える
今回の動きが示すのは、K コンテンツ輸出の主軸が「完成品の本数売り」から多様化しつつある構図だ。
これまで韓国の制作スタジオやプラットフォームの海外収益は、出来上がったドラマ 1 本ごとのライセンス販売が中心だった。CJ ENM 系の TVING がアジア太平洋で Disney+ や HBO Max と組んで完成作の枠を広げてきたのも、この延長線上にある(Variety)。だが完成品の本数売りは、制作費の高騰という重い前提を抱える。1 本に数十億ウォンを投じる長尺ドラマは、ヒットしなければ回収が苦しい。
ここに縦型フォーマットが加わる意味は、低コストで増産できる新しい収益線を開ける点にある。縦型は撮影規模も尺も小さく、長尺の数分の一のコストで本数を積める。Catchplay 側から見れば、「数百時間」という規模を、自前の大型制作に頼らずライセンスと共同開発で一気に揃えられる。韓国勢から見れば、既存の完成品ライセンス事業を傷つけずに、別フォーマットの輸出窓口を新設できる。
つまりこれは、同じ K コンテンツという資産を「長尺の本数売り」と「縦型の量産」という二つの形で別々に売る試みだ。制作費インフレの逆風下で、後者は前者の補完線として効く。
示唆:縦型 × アジア展開という新収益線
Catchplay にとって本件は、映画ファン向けのプレミアム配信から「映画・長尺シリーズ・ライブ TV・縦型」までを束ねる総合プラットフォームへの転換を示す(Patrick Frater)。配信面でも、台湾の有料 TV・ブロードバンド大手 Home+ と TBC を通じて 3 市場へ届ける。さらに車載エンタメ基盤 DTS AutoStage(米 Xperi の車載向けプラットフォーム)まで使い、縦型を新しい流通チャネルに乗せる建て付けだ。流通の窓口を広げ、新フォーマットを束ねる動きと読める。
— Sources / 情報源
- Deadline: Catchplay Makes Vertical Drama Move In Partnership with Korea's SLL Joongang, CJ ENM & Others
- Asian Movie Pulse: CATCHPLAY's Screenworks Asia Partners with Korea's SLL Joongang for Premium Co-Development
- Patrick Frater (Substack): Taiwan's Catchplay Targets High-End Micro Dramas From Korea
- Variety: CJ ENM's TVING Expands K-Drama Slate in Japan, Asia-Pacific via Disney+ and HBO Max