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マイクロドラマ、英が欧州首位に — Omdia『規模でなく注目を先取り』、世界140億ドルへ

スマホ縦画面の短いドラマ(マイクロドラマ)で、英国が欧州首位に立った。調査会社 Omdia によれば 2025 年の利用者は月 820 万人。世界売上は 2026 年に 140 億ドルを超える見通しだ。米国では ReelShort の 1 日の利用時間が Netflix を上回る。会員数ではなく“視聴時間”を先に奪い、配信の勢力図に食い込んでいる。

TL;DR — 3 行で読む
  • 調査会社 Omdia が、マイクロドラマ(縦型短尺ドラマ)で英国が欧州首位(2025年 MAU 820万、独 440万)と発表 — マヨルカの Conecta で
  • 世界売上は 2025年110億→2026年140億超→2030年220億ドル超、うち中国外が約3分の1へ。ロマンスから犯罪・家族・リアリティへ『ジャンルでなくフォーマット』化
  • 米国では ReelShort の日次利用が Netflix を上回る — マイクロドラマは規模でなく『注目』を先取りして配信の勢力図に食い込む

概要

スマホ縦画面の短いドラマが、欧州でも市場を広げている。調査会社 Omdia は 5 月 29 日、スペイン・マヨルカの番組見本市で マイクロドラマ(1 話 1〜2 分の縦型短尺ドラマ)の市場分析を公表した。それによると、欧州で最も大きいのは英国だ。月間の利用者数(MAU)は 2025 年で 820 万人にのぼり、2 位のドイツ(440 万人)を上回る。

世界に目を向けると、その勢いはさらに鮮明だ。中国を除けば米国が最大で 6,600 万人。ブラジル(2,400 万人)やメキシコ(2,000 万人)も欧州各国を大きく上回る。Omdia の Maria Rua Aguete は「マイクロドラマはモバイル娯楽の主要な力になりつつある。単なる新しい形式ではなく、新しい視聴行動だ」と語った。

市場規模の見通しも強気だ。世界売上は 2025 年の 110 億ドルから、2026 年に 140 億ドル超、2030 年には 220 億ドル超へ伸びると予測する。しかも、その約 3 分の 1 を中国以外の国々が占めるようになるという。当初はロマンスものが中心だったが、いまはスリラー・犯罪・コメディ・ファミリー向けへと広がる。Rua Aguete はこれを「ジャンルではなくフォーマット(器)だ」と表現した。

経緯

マイクロドラマは中国の「短劇(ドゥアンジュ)」を起点に世界へ広がった。Omdia の従来の分析によれば、2025 年の世界売上 110 億ドルは、無料広告型の配信である FAST チャンネル(約 58 億ドル)の約 2 倍にあたる。収益の 6 割超は、サブスクや 1 話ごとの課金が占める。

ただし市場の重心はなお中国にある。2025 年時点では売上の約 83% を中国が稼ぐ。次の焦点は、米国・欧州・中南米という中国の外でどこまで伸ばせるかだ。

発表の舞台となった番組見本市「Conecta Fiction & Entertainment」は今年で 10 回目。5 月 25〜28 日にマヨルカで開かれ、テーマに「AI、マイクロドラマ、クリエイターエコノミー」を掲げた。Rua Aguete は会期中、「AI と縦型マイクロドラマを裁く」と題した模擬裁判形式の討論も主導している。縦型短尺が、新興アプリの一過性のブームではなく、業界が正面から論じる構造的なテーマに昇格したことがうかがえる。

構造解釈:会員数ではなく“視聴時間”を先に奪う

この市場の本質は、会員数の多さではない。人が一日に使える限られた時間を、先に奪うことにある。英国の利用者数 820 万人は、大手 SVOD(定額制の動画配信)に遠く及ばない。ところが「時間」で見ると様相が変わる。Omdia が 2026 年 2 月に示した米国のデータでは、マイクロドラマアプリ ReelShort の 1 日あたり利用時間が大手の定額制を上回った。

  • ReelShort: 35.7 分
  • Netflix: 24.8 分
  • Prime Video: 26.9 分

利用者数では ReelShort(約 110 万人)が Netflix(約 1,200 万人)に遠く及ばないにもかかわらず、である。Rua Aguete によれば、規模ではなく注目の奪い合いで勝っている、少なくとも今は、という。

もう一つの変化は「ジャンルの枠を外したこと」だ。ロマンス専用の色物から犯罪・ファミリー・リアリティへ広がると、マイクロドラマは特定ジャンルの流行ではなく「縦型短尺という器」として一般化する。つまり、既存の放送局や配信事業者も参入できる普遍的なフォーマットになる。欧州での立ち上がり方も示唆的だ。英国が首位なのは、英語の制作が巨大な米国市場と地続きだからである。一方でスペインが、スペイン語コンテンツの制作拠点として台頭しつつある。DramaBox のような中国外アプリへの供給を支える存在だ。欧州市場は「英語のハブ+スペイン語の制作拠点」という二極で立ち上がりつつある。

示唆:縦型短尺は配信の地図をどう塗り替えるか

マイクロドラマは、視聴者の時間と関心を奪う新たな競合として、定額制動画の市場に食い込み始めた。会員数では測れないこの脅威を、既存の配信事業者がどう受け止めるか。それが次の論点になる。

WATCHLIST — 次に追う 3 つ
  1. 市場規模が予測どおり伸びるか。2026 年の世界売上が 140 億ドル超に届き、中国以外の比率が上振れするか。Omdia の続報で「中国 83%」のシェアが何ポイント縮むかが目安になる
  2. 英国で「時間の奪取」が続くか。ReelShort 系の 1 日の利用時間が Prime Video などを上回り続け、「注目の先取り」が一過性か定着かを見分ける材料になる
  3. 欧州の放送局が本気で参入するか。スペインの RTVE や Atresmedia などの縦型参入が「検討中」から実際の制作・常設の枠へ進み、スペインが制作拠点として本数と利用者数の実績を伴うか

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