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中国 NRTA、ネット動画「精品工程」2026 年募集を開始 — 動画・綜芸・記録片・配信・音声・短編まで国費で直接支援

国家広電総局が文書 124 号で 2026 年の「ネット動画精品工程」募集を開いた。微短劇に限らず動画・綜芸・記録片・ライブ・音声・短編まで全形式を対象に、国が直接の扶持資金と全工程の指導、放送支援を出す。各省は最大 5 作品を推薦し、6 月 5 日締切で省初審から国家終審へ進む。

TL;DR — 3 行で読む
  • NRTA が文書 124 号で 2026 年「ネット動画精品工程」の募集を開始、動画・綜芸・記録片・ライブ・音声・短編まで全形式を対象に国が扶持資金と全工程指導を出す
  • 各省・中央直属単位は原則 5 作品まで推薦、参評機関は 6 月 5 日まで、省は初審通過作を 6 月 15 日までに上申し、総局が複審・終審を行う
  • 5 月 14 日に動いた微短劇の精品計画(プラットフォーム拠出 少なくとも 60 億元)とは別建てで、NRTA が中央から直接コンテンツを選び資金を出す枠組み

概要

中国の放送・ネット動画規制当局が、国費で「優れた作品」を選んで育てる仕組みを一段広げた。NRTA(国家広播電視総局、放送とネット動画を所管する中国の規制官庁)が、文書「広電弁発〔2026〕124 号」で 2026 年の「ネット動画番組精品創作伝播工程」(网络视听节目精品创作传播工程)の募集・審査を開始したと公告したものだ。文書は 5 月 23 日付で、サイト掲載は 5 月 26 日だった。

注目すべきは対象の広さである。申請できるのは制作段階にある原創(オリジナル)作品で、形式はネットアニメ・ネット綜芸(バラエティ)・ネット記録片(ドキュメンタリー)・ネットライブ番組・ネット音声番組・短編動画まで及ぶ。直近で話題化した微短劇(数分尺の縦型ドラマ)だけを切り出した施策ではなく、ネット動画のほぼ全形式を一つの「精品工程」で束ねる建付けだ。

支援の中身は資金にとどまらない。総局は選定作に対し、扶持資金を交付し、制作の全工程を追跡して推進し、専門的な指導を行うとした。完成後には宣伝普及と放送(播出)の支援も与える。つまり国がカネと伴走と出口の三点で関与する。

経緯

申請の流れは二段審査で設計されている。参評(審査参加)機関はまず 6 月 5 日までに総局の申請システムでアカウントを登録し、必要情報を記入して申請する。次に各省級の広播電視行政部門が管轄区域の作品を初評(一次審査)し、初評を通った作品を 6 月 15 日までに総局のネット動画司へ上申する。最後に総局が専門家を組織して複評・終評(二次・最終審査)を行い、入選作を選ぶ。

推薦には上限がある。原則として各省級の広播電視行政部門および中央直属単位が推薦できる参評作品は 5 部(作品)を超えないとされた。地方がいくらでも積み増せるのではなく、中央が省ごとの推薦枠を絞ったうえで全国から選り抜く設計である。北京市広播電視局や湖南省など、各地の主管部門が相次いで参評を組織する通知を出しており、募集は全国規模で動き出している。

選定の評価軸も明確だ。総局は申請作品に対し、正しい政治方向・世論誘導・価値志向を堅持し、「思想精深・芸術精湛・制作精良」(思想が深く、芸術が優れ、制作が良質)の統一を求めた。重点的に扶持するのは、習近平の新時代中国特色社会主義思想の宣伝や、中華の優れた伝統文化・革命文化・社会主義先進文化をテーマにした作品である。何を作るかという内容の方向まで、募集要項が踏み込んでいる。

構造解釈:国がコンテンツを「直接選んで」育てる仕組み

この工程の核心は、補助の出し手と出方にある。資金を出すのが国(中央)であり、しかも企画段階から完成・放送までを通して国が伴走する点だ。市場が作ったヒット作を事後に表彰するのではなく、制作前の作品を選び、資金と指導と放送枠を前もって割り当てる。国が需要側ではなく供給側に立ち、何を生むかの段階から関与する産業政策と読める。

ここで対照したいのが、9 日前に動いた別の施策だ。総局は 5 月 14 日、「微短劇精品創作伝播計画」の作業推進会を開いた。報道(新浪財経)によれば、6 つの主要プラットフォームが少なくとも 60 億元を投じて優れた実写微短劇の制作・伝播を支援する建付けで、資金の主体はプラットフォーム側にある。同じ「精品」を冠しても、こちらは民間の資本拠出を国がまとめる構図だ。124 号の工程は対象が全形式に及び、資金が国の直接交付である点で、これとは別建ての仕組みだと整理できる。

さらに地方の動きと比べると階層が見えてくる。一部の地方は特定ジャンルや特定地域に焦点を当てた独自の補助を打ち出してきたと伝えられるが、124 号は中央が全国・全形式を横断して直接選定する点で性格が異なる。中央の直接選定、プラットフォーム拠出の取りまとめ、地方の局地補助という重層的な構図が、いま並走しつつある。

示唆:全形式を貫く「精品」誘導と注視点

この工程が示すのは、中国のネット動画政策が微短劇という単一ジャンルの話に収まらないことだ。アニメから音声番組まで横断する「精品」の物差しを国が一本通し、その物差しに合う作品へ資金・指導・放送枠を配る。供給の上流から方向づける手法が、ネット動画の全形式に広がりつつある。

WATCHLIST — 次に追う 3 つ
  1. 選定の規模と実額。今回の公告は資金交付を約束したが総額や 1 作品あたりの金額は未開示で、入選作の本数と金額が後日どこまで開示されるかで政策の本気度が測れる
  2. 微短劇計画との役割分担。プラットフォーム拠出 少なくとも 60 億元の微短劇計画と、国費直接の 124 号工程が、対象や入選作で重なるのか棲み分けるのか
  3. 内容方向の実効。思想・芸術・制作の三拍子と価値志向を満たす作品が、実際に国内外でどれだけ視聴されるか。国の選定軸と市場の受容がそろうか

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