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CNN が AI 検索 Perplexity を提訴 — テレビ局初のAI著作権訴訟が問う「学習と回答」の線引き

1 万 7 千件超の記事・動画・画像を無断利用したとして、CNN が生成 AI 検索の Perplexity をニューヨーク連邦地裁に提訴。メディアのコンテンツ資産を AI がどう値付けすべきかという争点が、放送局にまで広がった。

TL;DR — 3 行で読む
  • CNN が 5 月 28 日、生成 AI 検索の Perplexity をニューヨーク南部地区連邦地裁に提訴(事件番号 1:26-cv-04427)。1 万 7 千件超の記事・動画・画像の無断コピーを主張
  • 侵害は「入力(スクレイピング)」と「出力(類似した回答生成)」の 2 段階。CNN は親会社 Warner Bros. Discovery の子会社で、テレビ局による初の AI 著作権訴訟とされる
  • 生成 AI と著作権 をめぐる争いが報道機関から放送局へ拡大。Perplexity は「事実は著作権で保護できない」と反論する

概要

CNN(Cable News Network)は 2026 年 5 月 28 日、生成 AI 検索の Perplexity(Perplexity AI)を著作権・商標侵害でニューヨーク南部地区連邦地方裁判所(SDNY)に提訴した。事件番号は 1:26-cv-04427。訴状によれば、CNN は同社の記事・動画・画像など 1 万 7 千件超が無断でコピー・配信されたと主張している。原告 CNN はアトランタに本拠を置き、メディア大手 Warner Bros. Discovery の完全子会社。被告 Perplexity はサンフランシスコ拠点の AI 検索スタートアップである。複数のトレード誌は、これをテレビ局(放送局)による初の AI 著作権訴訟と位置付けている。

Perplexity 側は、最高コミュニケーション責任者ジェシー・ドワイヤーが、事実そのものは著作権で保護できないと反論する。一方の CNN は、商業事業者なら対価を払えるはずであり払うべきだと主張する。CNN 自身は 2025 年 12 月に Meta とコンテンツライセンス契約を結んでおり、対価を払う AI 企業と払わない AI 企業の対比が際立つ。

経緯

訴状が描く構図は二段階だ。第一が入力段階で、Perplexity のクローラ(PerplexityBot / Perplexity-User)が CNN サイトを巡回し記事を取得したこと。第二が出力段階で、その結果として、CNN の記事と「同一または実質的に類似」した回答を生成・配信したこと。CNN は両方を侵害と位置付ける。

技術面の主張も具体的だ。PPC.land が訴状を基に伝えるところでは、CNN がアクセスをブロックした後も Perplexity-User が robots.txt のルール(巡回を拒否する設定)を無視し、Cloudflare のログには秘匿 IP や Chrome/macOS を装ったアクセスが記録されたという。

交渉の経緯もある。2025 年 10 月には、Perplexity の有料ニュースバンドル「Comet Plus」向けに記事アクセスを認める提携が交渉されたが、11 月に決裂した。CNN は 12 月 10 日に停止要求のレターを送ったが、回答が得られなかったとされる。

商標の論点も加わる。ユーザーが「Comet Plus とは」と尋ねると、成立していない CNN との提携をあたかも有効であるかのように提示したとして、CNN は 11 件の商標に関する侵害(ランハム法上の出所偽装・希釈化)も主張する。求める救済は差止に加え、法定・実損害、商標分の 3 倍賠償、利益の吐き出し、弁護士費用に及ぶ(具体的な金額は訴状・報道とも非開示)。

構造解釈:「学習」と「回答」を分けて攻める

この訴訟が示すのは、報道コンテンツに対する AI の利用を入力(学習・取得)と出力(回答生成)に分解して責任を問う戦い方である。従来の「学習データに使われた」という入力側の主張だけでなく、生成された回答が原典と実質的に類似している点を出力側の侵害として並置することで、CNN は「事実は著作権で保護できない」という Perplexity の定番の抗弁をかわそうとしている。事実そのものではなく、表現・編集・配信物としての記事の複製が争点だという立て付けだ。

Comet Plus をめぐる商標の主張も巧妙だ。著作権の議論が「事実 vs 表現」の難所に入りがちなのに対し、提携の偽装は出所表示の問題として別ルートで責任を構成できる。AI が生成する回答の中で第三者ブランドがどう扱われるかという、これまで判例の薄い領域に踏み込んでいる。

示唆:報道機関から放送局へ広がる戦線

Perplexity は既に The New York Times、Dow Jones(News Corp)、Reddit、New York Post からも提訴されており、AI と著作権の係争はテキスト報道から放送局のコンテンツへと前線を広げた。前年には Anthropic が同種の著作権請求を 15 億ドルで和解しており、ライセンス交渉と訴訟が両にらみで進む業界構図がうかがえる。

配信ビジネスの観点で重要なのは、これがメディアの「コンテンツ資産をどう値付けするか」の問題だという点だ。CNN が Meta とのライセンス契約を結んでいる事実は象徴的で、対価を払う AI 企業と払わない AI 企業を線引きし、ライセンス市場の正当性を司法を通じて固めようとする意図が読める。放送局にとって、過去・現在の報道アーカイブは配信収益化の対象であると同時に、AI 学習・回答の原資でもある。その二重の価値をどう守り、いくらで売るかが問われている。

WATCHLIST — 次に追う 3 つ
  1. 入力・出力 2 段階論と「事実は著作権で保護されない」という抗弁を裁判所がどう裁くか
  2. Comet Plus の商標主張が、AI の回答内ブランド表示の責任論にどう波及するか
  3. 訴訟と並行してライセンス交渉が広がり、報道コンテンツの AI 向け対価相場が形成されていくか。日本でも報道各社が Perplexity を提訴する動きがあり、各国の判断の相互参照が進む可能性がある

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